
日本精神障害者リハビリテーション学会
会長 野中 猛
2008年11月の常任理事会決定をお受けして、日本精神障害者リハビリテーション学会の第4代学会長を務めることになりました。
わが国における精神障害をもった方々に対するリハビリテーション活動は、ときに試行や運動であり、ときに注目を浴びながらも、医療でも福祉でもこれまで中
心的な位置におかれたことはありません。しかし、戦前のことながらいまさら目を開かせられる加藤普佐次郎先生などの試みにはじまる黎明期がありました。戦
後の1970年代に至って、一部の自治体において公的に認められた活動が始まりました。川崎市リハビリテーション医療センター初代所長の岡上和雄先生や、
東京都世田谷リハビリテーションセンター初代所長の蜂矢英彦先生などが、世界標準の総合的な精神科リハビリテーションを導入して実践および指導を開始し、
この領域の第二世代と自称されていらっしゃいました。
1987年成立の精神保健法によって、精神障害者の社会復帰がようやく法的に位置づけられ、1993年の障害者基本法によって、はじめて精神障害者として
福祉の対象となり、制度上にも平等に処遇されはじめるのは2006年の障害者自立支援法を待った、という歴史的な経過の中で私たちは実践活動を重ねていま
す。
私は、1976年に医師となって、民間の精神病院や総合病院を経て、1988年に埼玉県立精神保健総合センター開設準備のために埼玉県に入職しました。そ
こで実践した精神障害リハビリテーションや地域保健の活動が私の貴重な体験となっています。この1990年前後には精神障害領域の多様な活動が湧き上がり
ました。思えば歴史には波のような現象があり、その動向を見抜き、その力の助けを借りることは大切に思えます。いまの時期、障害者自立支援法体制への移行
をめぐって、旧来の政治経済体制も変貌を余儀なくされている昨今も、精神保健改革の好機と言えるでしょう。
思い起こせば1993年に、精神障害リハビリテーションを志向する全国の多職種の関係者にお声をかけ、日本青年館において第1回の研究会を開催しました。
1995年の第3回研究会より学会に移行し、本年11月の東京大会で16回を数えています。私は最初のお声をかける準備から始まって、本会の活動に継続的
にかかわってまいりました。
あらためて、日本精神障害者リハビリテーション学会初代会長の蜂矢英彦先生、二代目の岡上和雄先生、三代目の江畑敬介先生と思い起こせば、お三人のように
見識や人格や権威で会を導くことはとてもできそうもありません。幸いに理事の方々、その次の世代の若い方々に、見事な実践や理論が生まれており、わが国の
本領域にも層の厚さを感じるこの頃になってきました。そこで、私は事務局型の会長として機能していこうと考えておりますので、会員諸氏にはいままで以上の
積極的な参画によるご活躍を期待しています。
2008年12月 野中 猛